それは、水分子全体のうち自由水の割合で決まるのです。
水分活性(Aw ウォーターアクティビティ)が高いとか低いとか言います。
ってわかりづらい表現ですね。
大雑把に言うと、水分全体のうち塩や砂糖がどれだけ入っているかによってカビたり細菌が繁殖したり酵母が増殖したりするのです。
身近では梅干しとか腐らないですよね。これは水分に対して塩分が多いからです。
なぜ塩分が多いといいのかと申しますと、通常のH2Oは自由水なのですが、そこにNaClが入ることで、H2O分子をホールドし結合水が出来ます。
で、このホールドされた水が多いと自由水が少なくなってカビにくいということになります。
塩分や糖分、タンパク質が多くてもそうですし、水分が少なくても相対的に自由水の割合が減るので腐りにくくなります。
詳しくはhttp://homepage3.nifty.com/hinshitukanri/siryou/suibunkassei.htmに書かれています。
うどんの場合は、よく「常温で保存できる商品を作って欲しい」と言われますが、この場合には
1、乾燥して水分を抜き、水分活性をの値を下げる
2、塩分を多くして、水分活性の値を下げる
3、真空パックにして長持ちさせる。
という方法があります。
3は、茹でうどんを真空パックにするのですが、これは日本ではもう受け入れられないですね。食感が他のうどんとまるで違い、僕から言わせればうどんではなく、「長い状態の小麦粉食品」になります。
そこで、1か2なのですが、1の場合多くは麺が細くなりがちです。それはゆがく時間が相当長くなるからです。パスタで経験がある方が多いと思いますが、1.4mmの太さと1.7mmの太さの乾燥パスタで長いと5分くらい茹で時間の差があると思います。
うどんだとそんなものではないのです。
通常四国のうどん屋さんに入って食べるうどんの太さを乾麺にすると20分はゆがかないといけないでしょう。
だからなのでしょうか?乾麺ではないですがここ最近香川に行って入ったうどん屋さんの麺が細くなっていたような、、、
茹で時間が短いということは回転率にも影響しますからね。
話は逸れました。
2の場合はと言いますと水分活性を抑えるにも限界があります。塩分を多くしすぎると辛くなるからです。
この手のうどんはよくお土産物屋さんで販売されているうどんがこれですね。
「半生麺」という類です。
これは、適度に塩分をあげて(あと多少の添加物)適度に水分を抜くという方法です。
茹で時間も10分〜15分程度で、賞味期限は一カ月から3カ月といったところでしょうか。
この水分活性の考え方は、うどんを練る時にも用いられます。
温度や湿度の具合を見ながら製造時間から逆算をし、麺生地の中の水分活性値を塩分と水分でコントロールしています。
私たちは普段何気なくやっている作業もこうして食品科学的見地から見ると、なかなかな事をやってるなと、我ながら思うのでした。
これも、日々美味しいうどんをお客様に提供するための、先人からの知恵ですね。